熱抵抗について
 熱設計を行う場合熱伝導や熱伝達からスタートすると形状などにより複雑な計算が必要になってきます。そこでこの複雑さを避けて直感的な把握を容易にするために熱抵抗という便利なパラメーターがあります。大雑把な検討をするには熱抵抗で十分です。ICやヒートシンクなど複雑な形状をしたものを一つのブラックボックス(一塊)と考え、そこから出て行く熱量と、その熱量を出すために必要な温度差、そして熱抵抗という3つのパラメーターで扱おうとするのが熱抵抗による熱設計の概念です。この関係を式で表すと次の通りです。

         ΔT = R x Q
                 
             ΔT: 熱を授受する物体間の温度差 (℃)
             R: 熱抵抗 (℃/W)
             Q: 熱流 (W)

この式からわかるように熱抵抗とは、ある物体から1Wの熱流を放出するために必要な温度差です。


左図はヒートシンクの場合ですがこれを例にとって説明します。

入熱面の温度を Ti、環境温度をTaとすると

  ΔT = Ti − Ta となります。

このΔTでQ以上放熱するためには熱抵抗Rは

  R ≦ ΔT / Q となります。

言い換えると、熱抵抗Rのヒートシンクを使うとQだけ放熱するためにはΔTだけヒートシンクで温度差を使ってしまうことになります。
  
 熱設計について左図のようなヒートシンクを使った熱システムを例に考えてみましょう。ヒートシンクの冷却能力を検討する場合でもヒートシンクだけを考えるだけではだめで、熱源から環境まですべてを通して検討を行う必要があります。左図は最も簡単な熱システムですが熱源、サーマルグリース層、ヒートシンク、大気の4つからなっています。ここでは熱抵抗としてサーマルグリース層とヒートシンク層が必要です。ただしヒートシンクの熱抵抗には大気との間の熱伝達も入っています。したがって自然対流や強制空冷などの冷却状態によって熱抵抗が大きく変わります。これらの熱抵抗を使って上記のように熱設計を行うことができます。
 例えば上の(熱源+サーマルグリース+ヒートシンク)の熱計算をしてみます。
サーマルグリースの熱抵抗が 0.03 ℃/W
ヒートシンクの熱抵抗が 1.0 ℃/W
環境温度が25 ℃、熱源の発熱量が50Wの時
熱源の温度は何度になるのでしょうか?
トータルの熱抵抗は1.0+0.03=1.03 ℃/Wですから50W放熱するために必要な温度差は
1.03x50=51.5 ℃ となります。この時の熱源の接触面の温度は25+51.5=76.5 ℃となります。
またサーマルグリース層でつく温度差は0.03x50=1.5 ℃となります。
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