ペルチェモジュールの熱輸送の原理

 ペルチェモジュールも熱発電モジュールも設計条件が違うだけでも基本的な構造は同じです。使い方は熱発電モジュールが熱から電気を作るのに対してペルチェモジュールは電気を流すことで熱を低温サイドから高温サイドへ輸送します。その熱輸送の仕組みを熱電半導体のエネルギー準位を使って説明します。下図はペルチェモジュールの基本構造を表すスケッチ図とそのエネルギー準位の概念図です。ペルチェモジュールはこれらのモジュールがたくさん直列に接合されています。
 上の左図でN型半導体側の金属にマイナス極が接続されています。したがって電圧によって電子はこの金属の伝導帯からN型半導体の伝導帯に押し上げられます。この時、金属の伝導帯とN型半導体の伝導帯にエネルギーギャップがあるため電子は金属から熱エネルギーを奪いその結果この金属を冷却します。引き続いて電子は流れ、N型半導体の伝導帯から金属の伝導帯に落ちます。両バンドのエネルギーギャップによって電子は熱エネルギーを放出します。このようにしてホットサイドの金属を加熱します。さらに流れてきた電子は金属の伝導帯から、P型半導体の中を流れてきた正孔に落ち込み熱エネルギーを放出し、ホットサイドの金属を加熱します。P型半導体の中では電圧によって正孔が生産されコールドサイドからホットサイドに流れます。その時に生じた電子が電圧によってコールドサイドの金属の伝導帯に押し上げられ、それらのエネルギーギャップに応じた熱エネルギーを奪いコールドサイドの金属を冷却します。このように電流が流れることによってペルチェモジュールのコールドサイドからホットサイドに熱が運ばれることになります。電流によって運ばれる熱エネルギーの他に熱伝導によって運ばれる熱エネルギーがありますが熱伝導によって運ばれる熱エネルギーは流れの方向が逆のため少なくするほどペルチェモジュールの性能が良くなります。つまりホットサイドの熱エネルギーをヒートシンク等でできるだけ早く取ってやることがペルチェモジュールに良い性能を発揮させることになります。