スイッチング電源の並列運転の仕方
 電源を並列に使用できれば、大きな出力を得たり、一方の電源が故障した時のバックアップとして使ったり、冗長運転などを行うことができます。しかしこのためには並列運転仕様の電源を使うことと、その使用法に注意することが必要です。では注意することとは何か、並列運転する場合の問題点を挙げながら説明したいと思います。並列運転の基本的な問題は次の通りです。
OCP(Over Current Protection)の働くポイントや出力電圧の微妙なのバラツキにより並列運転時の出力バランスが崩れます。このことに起因して、並列用に改造していない電源を並列運転すると、出力設定電圧の大きい電源では定格出力を超えて連続運転される可能性があり、出力設定電圧が低い電源では発信停止してしまう可能性があります。この現象をなくすためにOCPの設定を定格内に変更することや回路にダイオードを入れるなどの対策を行います。
並列運転していた電源の1つが故障した場合、残りの電源から電流が故障した電源に逆流し、故障範囲を拡大する可能性があります。これを防止するために回路にダイオードを入れなければならないこともあります。
ダイオードについて
 下記回路に使われているダイオードには常に負荷電流が流れますので放熱を考慮してください。発熱の観点からするとショットキーダイオードが良いと思われますが、一般整流用のブリッジダイオードでも使うこともできます。電圧、電流定格は使用値に対してマージンを持って選定してください。出力電圧はダイオードの順方向電圧分低下します。

配線について
 渡り配線にせず各電源から負荷へ配線してください。各線長はなるべく等しくなるようにしてください。ダイオードを使用する場合はダイオードまでの線長、ダイオードからの線長をそれぞれ等しくなるように配線してください。ダイオードを使用しない場合は、電源が2次側ショートで故障しますと残りの電源装置の出力電流全てが故障した電源に流れ込みますので線形等留意してください。
 並列運転する場合は基本的に同形式のもの同士としてください。異なる形式のものはを並列運転が可能か個別に検討する必要がありますのでお問い合わせください。並列運転可能な電源については”直列運転、並列運転ができるスイッチング電源”を参照してください。
 以下に目的や方法に応じて並列運転について説明します。
目的/方法 回路 説明
出力容量増加/
抵抗ミックス法
最も単純な並列接続電源で、電源本体に特別な調整は不要です。出力電圧の微妙なバラツキは抵抗降下で自然に調節されます。したがって出力容量を適切に選定していれば定格を超えて連続運転をすることはありません。ただ抵抗降下で実質出力が下がることと抵抗発熱を考慮する必要があります。
出力容量増加

図にはダイオードを記述していますが電源によって必要な場合、不要な場合があります。これについては”直列運転、並列運転ができるスイッチング電源”を参照してください。  
抵抗を介さず負荷に接続する並列接続電源で中・大容量に向いています。運転点が定格出力を超えないようにOCPの動作点を定格出力電流内に改造する必要があります。
・容量的に全台数運転が必要な場合

電源によってはダイオード(図には記述)が必要な場合があります。これについては”直列運転、並列運転ができるスイッチング電源”を参照してください。
・容量的に1台以上の余裕がある場合
(ピーク負荷対応、冗長運転)
ダイオード(図には記述)がない場合、出力電圧が低い電源が発振停止する可能性があります。この場合負荷が変わり、再発振が必要となった場合再発振が遅れます。
バックアップ バックアップ用に同型の電源を並列接続する場合は、1台で運転できる負荷を接続するわけですから定格出力を超えて連続運転することはありません。したがって電源本体は標準のままで使用できます。ダイオードは2台とも一度に故障する可能性を少なくするために入れたほうが良いでしょう。
出力容量増加/同期運転

同期対応機については”直列運転、並列運転ができるスイッチング電源”を参照してください。
並列運転端子を使う並列接続は大容量に向いています。並列運転端子を接続することで出力電流はバランスしますが1台あたりの負荷電流は 定格出力電流x0.9以下となります。また1台が故障すると、残りの電源が出力電圧を下げますのでバックアップや冗長運転をすることはできません。
ただFHHシリーズには故障時に並列運転制御回路を切り離す機能があるので、ダイオードを挿入すればバックアップや冗長運転が可能になります。ダイオードの挿入は、異常検出を出力電圧をモニターして行っていますので他機からの電圧がきてモニターが正常電圧と誤診しないようにするためです。