サーマルグリースの熱抵抗について
 サーマルグリースには熱伝導率が書かれています。しかし熱伝導率では熱設計を行うことが難しいので熱伝導率から熱抵抗を出す方法を以下に述べます。
左の図は熱流がサーマルグリース層を伝導していく図です。簡単化のためにグリースの厚さは一様で C としています。では議論を進めるとして、熱伝導における熱流速は次の式となります。
   
    q = -λ・grad(Temp)・・・・(1)

(1)式を書き換えると(2)式になります。

    Q/A = λ・(D/C)・・・・(2)

左辺を熱抵抗にして整理すると
    
    1/λ・(C/A) = D/Q

  grad(Temp): 温度勾配  °K/m または °C/m
  λ: 熱伝導率  W/(m・K)
  Q : 熱流     W
  q : 熱流速    W/m
  (単位時間に単位面積を通過する熱流)
  C : グリースの厚さ  m
  D : 温度差   °K または °C
  R : 熱抵抗   °K/W または °C/W
      ( R = 1/λ・(C/A) )

例として次のサーマルグリースの熱抵抗を計算します。

     λ = 2.5 W/(m・K)
     Q = 50 W
     C = 0.0001 m
     A = 0.05 x 0.05 =0.0025 m

  R = 1/2.5・(0.0001/0.0025) = 0.016  °K/W

このグリースを 50 W の熱流が通過するためには 0.016 x 50 = 0.8 ℃の温度差が必要です。


 サーマルグリースを選定する場合熱伝導率を比較して決められる方が多いと思いますが、上記の式を見ると分かるように、熱抵抗は熱伝導率以外にグリースの厚さが重要です。つまりグリースを薄く引き延ばせることが重要で、いくら熱伝導率が良くても厚くしか塗れないものは良くありません。だからといって薄く塗ろうとすると密着させることができず空気が残る場合があります。空気が残ることが最も悪いことですので完全に空気を抜くように注意してください。サーマルパッドなどは厚さが厚いものが多く、また空気を抜きにくい場合が多いので特に注意が必要です。
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